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240225 既知のミステリーツアー


 
240225 既知のミステリーツアー

 毎年のように母が「河津桜を見に行きたい」とぼやいていた。それも「もっと早く言えよ」というタイミングに。
 ここでいう河津桜は品種としてのカワヅザクラではなく、伊豆半島の南の方にある河津町の河津川沿いに咲くカワヅザクラのイベント「河津桜まつり」のことだ。
 今年はそのことを憶えていたので、正月の大量の新聞広告の中にあったツアーをチェック。客が少ないであろう水曜日を予約した。
 もちろん旅行案内書には詳しい行程が載っているが、ほとんど気にしなかった。一人旅とは違いツアーは基本的にバスに揺られるだけだから。


2月21日(水)
 7時30分に家を出る。今回調べるまで知らなかったのだが、東名浜松西インターの裏にバスターミナルがあるのだ。約5分で到着。
 7時55分バス出発。バスツアーだと途中で別の集合場所の客を乗せたりして「こっちのほうが早く集まる必要があって解散も遅くなるのはずるい」と思うこともあるが、今回はそのようなことはなかった。

 10時30分、バスが駿河湾フェリーに乗船。駿河湾フェリーの航路は富士山にちなんで静岡県道223(ふじさん)号となっている。
 特に写真はない。


鋭角に折れ曲がっているところはもちろん間違い。静岡県民以外の人はこれで場所がわかるのだろうか。

 フェリーの中で事前に渡されたお弁当を食べ、70分の船旅を経て土肥港へ。
 土肥は平成の大合併で新たにできた伊豆市に属することになったが、昭和の知識で止まっている私にとっては土肥町という地方自治体だ。
 土肥金山という鉱山のテーマパークがあり、三菱マテリアルの子会社が経営している。私は三菱マテリアルの株を持っているため毎年株主優待として土肥金山の無料入場券をもらっていて、機会があったら行ってみたいと思っていたのだが、こんなところで近くを通り過ぎることになるとは思ってもみなかった。

 しばらくは伊豆半島西側の海沿い・国道136号を進み、松崎町という聞いたこともない町で伊豆半島を横切る県道に入る。
 道中、唐人お吉が身投げをした地の前を通る。唐人お吉といえばハリスの愛人で手塚治虫の『陽だまりの樹』にも登場する幕末の重要人物ではないか! と興奮したが、あらためて調べると彼女はハリスの元に派遣されたもののわずか数日でクビになり、まあそれ故に苦労したのは間違いないだろうが実際に死んだのは30年後で、実際は自殺かどうかも怪しいとなってはもはやどうでもいいことだった。
 もちろんバスで素通りしただけで写真はない。

 やがてバスは下田市の市街地を通り抜ける。下田は開国の町でさまざまな観光名所があるが勉強不足の私にとってはそのほとんどはわからないものだった。「下田条約? そんなの習ったっけ?」と調べると、日米和親条約(神奈川条約)の細則を定めたものが下田追加条約だった。そりゃ知らんわ。

伊豆半島の最南端は石廊崎といい、静岡県の天気予報で出てくるので名前だけは知ってる。

 やがてバスは最初の目的地、南伊豆町に到着する。ここでは河津町とは別のイベントがおこなわれている。
 あまり気にしていなかったが、今回のツアーは「伊豆の2大花まつり 河津桜まつり&みなみの桜と菜の花まつり」だったのだ。


南伊豆町・青野川沿いの桜。河津桜とは呼ばれていない。それだと河津町が注目されてしまうから?
 
 あらためて北上し、再度下田を素通りして河津町へ。情報のアンテナが低い母でも知っている「河津桜まつり」の会場だ。
 雨の平日であってもほとんどの出店が開いているのはさすが河津桜の本場だ。といってもそれがわかるような写真は撮っていないけど。


ずいぶん葉が付いてしまっている。満開状態の桜も少しはあった。

 帰りは伊豆半島を縦断する。
 その道中、というか出発してすぐに、すっかり忘れていたおもしろスポットを体験することになった。河津七滝ループ橋浜松市民にとって伊豆は名古屋よりも遠いと以前書いたが、「酷道」152号を走る程度のヌルい道マニアである私は伊豆半島にループ橋があることを知っていたのだ。存在を知っていただけで詳しい場所までは知らなかったけど。
 あまりに急な出会いだったので写真はない。当然バスが停まってくれるわけもないし。

 その後も添乗員さんは川端康成が『伊豆の踊子』を執筆した宿とか『伊豆の踊子』の像がある滝だとか、美味しんぼにも出てきた天城のわさび畑とか(美味しんぼへの言及はなかったけど)を説明してくれた。だが天城トンネルを通っても石川さゆりの『天城越え』については触れられなかった。客の中に不倫カップルがいるかもしれないと考えたら「誰かに盗られるくらいなら あなたを殺していいですか」なんて話できないもんな。

 普通の地図ではなく地形図を見ると陸路で半島の端まで行くことの難しさがよく分かる。そしてそれが能登半島地震の復興の難しさなのだなあと実感する。


半島の中心辺りから伊豆縦貫自動車道に入る。この高速道路は下田まで通じる予定だが天城越えが難関。

ウィキペディアより。標高の高いところが天城山。

 沼津インターの近くの商業施設でちょっとした買物をしたらあとは高速道路を一直線。トイレ休憩があるのみ。
 先週末のツアーでは大渋滞で21時30分着だったそうだが今回は20時30分に戻ることができた。


今回の旅程。

 自分で運転するのと比べると、バスツアーは自由度が低いが楽でいいな。
 あとどれほど旅行に行くことができるだろうか。今年は。もしくは、親が死ぬまでに。


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